カメラを使用したエア漏れ(エアリーク)診断とは
工場の電気使用量のうち、約20%を占めると言われているのが、コンプレッサです。しかし、コンプレッサから送り出される圧縮空気(以降エアと呼ぶ)は、配管の継手やバルブなど、様々な箇所から漏れが生じており、エネルギーロスが生じています。一般的な工場では、全体の約20%のエアがエアリークによりロスしていると言われています。
そのため、コンプレッサの電気代削減の為に、エアリーク箇所を特定して補修するのが重要ですが、従来のエアリーク検知方法は、エアリークの音を人の耳で探す、エアリークが怪しまれる箇所に石鹸水を吹きかけて泡立つかを確認するという方法でした。
カメラを使用した新しいエアリーク診断方法は、エアリークの音のみを検知して漏れ箇所を可視化できる特殊なカメラを使用します。さらに、漏れ箇所の特定だけでなく、漏れ量による損失金額、CO2排出量まで自動で計算します。

このような方におすすめです
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- エアリークが起きていることは把握しているが、放置してしまっている…
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- 勤務時間外に機械を止めてみんなでエアリークの音を探して回っている…
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- 過去にエアリーク診断を実施したが、精度が低かった…
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- 電気代の高騰に困っており、少しでも電気代を削減したい…
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- カーボンニュートラルへの対応が求められているが、具体的に何をすればよいかわからない…
工場全体におけるコンプレッサの電気使用量の割合
電気代が高騰している昨今、多くの電気を使用する工場にとって、省エネ・省電力化は非常に重要な課題のひとつです。
省エネを推進するうえで大切なのは、エネルギー使用量の多い、かつ生産量を減らさずに実施できる設備の省エネから始めることです。
そこで注目すべきなのが、コンプレッサです。コンプレッサから送られる圧縮空気は、様々な機械の動力として使用されており、一般的に工場全体の電気使用量の約20~30%を占めていると言われています。
そのため、省エネを進める上で、コンプレッサの省エネは必ず実施しなければいけないものと言えます。

コンプレッサの省エネ手法一覧
一言に「コンプレッサの省エネ」と言っても、その手法は多岐にわたります。すべてを把握したうえで、自社でできることをすべてやっているという事業者は実はほとんどいません。
以下に、コンプレッサの省エネ手法の一覧表を記します。自社でまだ実施できていないものがないか確認しましょう。
コンプレッサの省エネ手法 | 自社で簡単に取り組める | 専門家のアドバイスを受けて自社対応 | 設備投資が必要 |
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弁の開閉状況の確認(閉め忘れ防止) | 〇 | ||
給気口のフィルタ清掃 | 〇 | ||
吐出圧力や使用端圧の適正化 | 〇 | ||
エアリークの点検・補修 | 〇 | ||
エアブロー量の適正化・低減 | 〇 | ||
コンプレッサの給気温度の低減 | 〇 | ||
配管の太さやルートの適正化 | 〇 | ||
機種・容量・台数の適正化 | 〇 | ||
台数制御 | 〇 | ||
エアレシーバーの設置 | 〇 | ||
高圧/低圧ラインの区分け | 〇 | ||
配管のループ化 | 〇 | ||
高効率コンプレッサへの更新 | 〇 |
一般財団法人省エネルギーセンター「工場の省エネルギーガイドブック」をもとに、自社にて作成
カメラを使用したエアリーク診断サービスの概要

音を可視化する特殊なカメラを持って工場内をめぐり、エアリークが発生している箇所を特定します。工場が稼働している最中は、様々な機械が動く音が発生していますが、この特殊なカメラであれば、そのような周りの騒音は拾わずに、エアリークによる音のみを検知することができるため、工場の稼働を止めずに、工場稼働時に診断することができます。
診断結果は、後日レポートとして提出します。レポートには、エアリーク箇所の写真だけでなく、各漏れ箇所からの漏れ量、漏れによる年間損失金額、CO2排出量などが含まれています。
その後の漏れ箇所補修のための社内稟議資料としても使用できます。
カメラを使用したエアリーク診断の特徴
①機械を止めずに設備稼働中に診断可能
これまでは、エア漏れによる音を人の耳で探すために、工場稼働時間外にみんなで耳を澄ましてエア漏れ箇所を探していました。しかし、よほど大きなエア漏れでなければ検知できない、時間外労働が発生する、高精度な診断ができない、などの課題がありました。
カメラを使用したエアリーク診断では、これらの課題をすべて解決します。工場稼働時間内に検知可能なため、時間外労働も発生せず、精度の高い診断ができます。
②レポートにより診断結果が定量的にわかる
これまでは、エアリークが起きていることはわかっても、定量的に示すことが出来ないため、エアリーク補修のための予算が取れない、というケースが一般的にありました。このエア漏れ診断サービスは、レポートにより各エアリーク箇所からの漏れ量、それによる損失金額、一覧表をまとめて提供するため、エアリーク補修のための予算が取りやすくなります。


③エア以外の様々な気体を検知可能
工場によっては、圧縮空気(エア)に限らず様々な気体を使用しています(例えば、溶接を行う工場では不活性ガスであるアルゴンガスを使用します)。この特殊なカメラは、エア以外の気体も可視化することができます(エアよりも比重の軽い水素などの気体は検知精度が下がります)。 エア自体は無料ですが、その他の気体を使用する場合は、コンプレッサの電気代だけでなく、気体自体にも費用が掛かっているため、漏れの補修による金額的メリットは非常に大きくなります。